2006-01-01から1年間の記事一覧

核武装論批判

ネット上で見る限り核武装論への支持は異様に高い。核武装論を批判する人は、道徳的な感情で批判するか、その「非現実性」を論理的に説明しようとするかのいずれかである。しかし、いずれにしても無意味というか、全く逆効果でしかないという感じがする。ま…

お上意識

日本人は「お上意識」が強いといわれる。確かにそうだ。「お上意識」を批判し、公務員の「特権」を批判し、その数を削減せよとのたまう人が、「行政は何をやっているのか」「政府の責任だ」と平然と言う。「お上意識」を強く批判する人の論理の中に、強固な…

平和主義批判

「社会的な不安や不満を「平和主義」で表現できないという現実に、革新政党も学者もマスコミももっと悩むべきではないのか」と前回書いたが、ちょっとだけ補足。「右傾化」を批判する人たちは、「平和主義」や「アジア諸国との友好」という理念を緩やかに共…

「右傾化」の理由

昨日赤木さんの文章を読んでいろいろ触発されたが、わかってきたのは「右傾化」の意味である。アカデミズムやジャーナリズムという場に属する人間にとっては、「右傾化」に対する批判的なスタンスはほとんど必要条件である場合がほとんどである。そのせいか…

希望は戦争

格差社会論も食傷気味と思っていたところに、『論座』1月号に赤木智弘「「丸山眞男」をひっぱたきたい」という文章を読んだ。大げさじゃなく、この1年の格差社会論で最も刺激的で面白い論文だった。今までの格差社会論の多くは、「真面目に働く庶民」を前…

「造反議員」の復党を支持する

自民党支持者ではないが、今回の「造反議員」の復党は美しい話ではないにしても、個人的には少なくともいいことだとは思っている。2005年9月11日の総選挙は、郵政民営化という重要度の相対的に低いと思われる問題を、国民的なレベルで二者択一を迫るという異…

核武装論―議論はなくてもいい

核武装論が一段落したが、気になったのは「議論はあってもいいではないか」という意見がかなりあったことである。ネットで上多かったのは予想通りだが、新聞やテレビなどでも少なくなかったのは正直なところ驚きだった。おそらく、大半の人は「核武装はする…

いじめっこはどこに?

普段は安直なマスコミ批判をする連中を軽蔑しているが、さすがにここ最近のいじめ問題に関する報道はひどすぎる。だいたい、いじめが問題であるとすれば、最も反省し、態度を改めるべき存在は誰なのだろうか。そんなのは幼稚園生でもわかる。直接いじめを行…

誰か法人税大増税案を!

16日の下に載せておいたけど、どうも上とつながりが希薄なので改めて。共産党や社民党のような「税金は大企業から採ればいい」的な単純な議論にも問題があるにしても、どうして国債発行や消費税の前に法人税を上げるという議論が盛んにならないのだろうか?…

みんな景気のせい?

今にはじまったことではないが、今の社会で起こっていることを説明するときに、「景気」というのが決まり文句になっている。実際、雇用情勢は若干よくなっているらしいが、その理由は必ずといってよいほど「景気が良くなったから」だと言われている。出生数…

右傾化はほんとうか?

最近マスコミでは「右傾化」を警戒する発言が目立っている。「右傾化」というのであれば、核武装をしてでも日本という国を防衛するうんぬんの議論や、大東亜戦争は聖戦だったみたいな議論が増えているということを意味しなければならないが、今一つピンとこ…

痛みを伴う改革は今や・・・

小泉政権発足当時、「痛みを伴う改革」が叫ばれた。あの田原総一朗も「首相自らが痛みを公言した。これが国民に支持されている。凄い」と褒めちぎっていた。私はどうも腑に落ちない感じを抱きつつ、反対する理屈もとくに見当たらなかったので、それになんと…

安倍晋三が総理大臣に

正確にはまだ「総理大臣」ではないが、安倍晋三の評判がネット上でのあまりにひどさに驚いている。この理由はいまひとつわからないが、小泉政権末期に露呈し始めた「負」の部分をまともにかぶってしまったようだ。私自身、安倍氏を全く評価していない。期待…

飲酒運転事故の増加

飲酒運転撲滅キャンペーンが盛んである。それ自体は別に構わないが、酒飲みでマイカー持ちに飲酒運転の「前科」のない人などほとんどいないと思うのに、「どうして自制できないでしょうかねえ」などと無邪気に言い放つ人が多いのには、正直なところ腹立たし…

靖国神社の非宗教法人化案

麻生外務大臣が靖国神社の非宗教法人化を提案している。当の靖国神社が反対するなど当面の現実味は低く、「政治の宗教に対する介入」とあまり評判はよろしくないが、細かい点はともかく私は方向性としては賛成している。小泉首相を筆頭に靖国に参拝する人は…

都会と田舎のねじれ

田舎の風景がファーストフードやコンビニ、郊外大型店舗、ハコモノ公共事業などで「汚染」されているという議論は多い。「顔が見える」「人間のぬくもりがある」「情がある」など長所を強調する。しかし馬鹿を言うんじゃないという感じがする。そんなことを…

ガソリン価格の格差

ガソリン価格が急騰している。かつて1リットル100円程度という常識があったが、そんな時代が本当にあったのかというくらい昔に感じられる。専門化が分析する原油価格上昇の理由を聞いていると、新たな大油田みたいなものが発見でもされない限り、将来的に1…

続・なぜ若者は政治運動をしなくなったか

もう一つ書き忘れていたことがあったので、追加。(4)国家が「弱く」なった 前に司馬遼太郎が全共闘運動の全盛時代に書いていたエッセイをたまたま読んでいたら、今は戦前に比べられば信じられないくらい国家は弱くなったが、その弱い国家に懸命に反抗してい…

なぜ若者は政治運動をしなくなったか

昔ちょっと問題提起だけしてそのままになっていたのだけれど、若干だけ考えがまとまったので書いてみたい。(1)大学生の大衆化 若者の政治運動は昔から、というか世界的に見ても学生が主体である。学生運動が最も盛んだったのは明らかに1960年代だが、今と明…

北朝鮮ミサイル問題

北朝鮮のミサイル基地を先制攻撃しようという言う意見が、公然と出され始めているようだ。はっきり言ってやめるべきである。憲法の問題以前に、莫大な税金を使う上に成功率はきわめて低く、さらに国際的な支持もあまり得られないだろう。先制攻撃は金銭的に…

中田英寿続き

http://d.hatena.ne.jp/caprin/20060707とてもいいコメントを書いてくれた人がいたので、リプライを含めてもうちょっと論じてみたい。かつて、1990年代半ばのJリーグブームは軽薄だったかもしれない。当時もサッカーブームへの反発からそう思っていたし、今…

中田英寿の引退宣言

サッカーは詳しくないので中田英寿の引退宣言にはこれといった感慨はないのだけれど、彼が日本サッカー界の「顔」であるのはいいことじゃないな、と長い間傍目から見て思ってきた。カズこと三浦知良は万人に愛される、明るさと人格を備えた選手だった。愚痴…

論理の飛躍

エコノミストの常套句は「個人の活動の自由度が高まり、競争が激化すれば経済の活力は上がる」である。最近経済学を専攻しようとする大学生は減少傾向にあるらしいが、むべなるかなである。第一に、このテーゼにはあまりに飛躍がありすぎる。エコノミストは…

福井総裁の辞任問題

福井総裁の辞任要求が高まっているらしい。私はこの問題で辞任すべきとは思わないが、やはり気が重くなるのは村上ファンドの理念に共鳴して投資していたという事実である。村上ファンドは企業買収で騒いで株価が高くなったら売り抜けるという手法は、今は色…

死の大切さ

子供をめぐる殺人事件の報道で「命の大切さを・・・」を云々する人が依然として多い。しかしこれが間違いであることは、皆はもうわかっているはずである。このことは、かつてオウム事件でわれわれは既に学習したはずではなかっただろうか。サリンの実行犯は「命…

愛国心について

最近教育基本法の改正問題でまた愛国心に関する議論が盛り上がっているが、二つの傾向があるように思った。一つには、あるべき愛国心を「自然に湧き出る感情」と理解している点である。つまり、「自然な感情」なのだから教育でも教えるのは当然と言う人と、…

三つの格差社会

格差社会には三つのタイプがある。かなり単純化しているので、あくまで「図式」として読んでもらいたい。 (1)ヨーロッパ型 格差社会というよりは「階級社会」である。高学歴高収入というポジションを享受するのは、一部の選ばれたエリートとあらかじめ決ま…

自民党の増税案について

ニートは扶養控除外 自民が検討 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060522-00000007-kyodo-polこれ自体は小さな問題かもしれないが、こういうことを考える現政権の思考様式には大きな問題がある。そもそも増税は「余裕のあるところから」というのが大原則…

国家の品格

藤原正彦『国家の品格』という本が最近売れているらしいので、今更ながら手にとって読んでみた。私は基本的に伝統保守的な考え方をしているので、本の内容は比較的素直に頭に入るのだが、だんだん退屈になって途中から飛ばし読みになってしまった。この本が…

相手を実名で批判するのは良いことか

「ニート」概念を批判している後藤和智という人が、批判は「実名」を出して行なうべきだと述べていた。この意見に一瞬頷きかけたが、ちょっと考えてそれは違うと思うようになった。 そもそも、名指しで批判された人は、それを読んでどう思うだろうか。これは…