市場・セーフティネット・規制強化

国の役割に否定的だと考えられる米国でも、70%の人が貧しい人たちの面倒を見るのは国の責務だと考えている。多くの国では、市場経済と国の両方を信頼している。つまり、市場経済によって国全体の豊かさを増し、市場競争から貧困者が生まれれば、その面倒を見…

議論について

なぜ日本人は議論ができないのか ・・・・・・・・・・・・以上のような理由で、議論ではなく事前の打ち合わせで事を穏便に済ませようという気分になるのだと思われる。大きく分けると「論理が優先されず、気持ちが大切である」という点と「共感のなさ」だ。共感という言…

負担の社会化

今の日本で起こっている問題の大半は、「財源がない」という非常にシンプルな問題に由来している。どういう手段でもいいから、税金を上げなければいけない。これは、非常にはっきりしている。GDPに対する税収比較だと、世界のなかで例外的に強い個人主義志向…

パイを増やす

前回の続きというか繰り返し。よく「パイを増やさなければ」という表現が出てくる。もちろんパイは大きいほど大きいほうがいいに違いはないのだけれど、少し考えればこれはかなり怪しげな考え方である。第一に、パイを公平に再配分する仕組みが整ってなけれ…

経済成長は処方箋ではない

まだこんなことを言っている人がいるのかと、さすがにびっくりした。 すると格差と雇用の問題への対応には3つの選択肢しかないことがわかる. (1)だれからも奪わないしだれも救わない (2)だれかから奪ってだれかを救う そして, (3)経済成長 この3つ. 僕…

ポピュリズムの時代

大阪府の橋下知事の支持率が84%らしいが、支持率が好感度調査のようなものとは言っても、これはさすがに驚いた、というか暗澹たる気分になった。この橋下府知事に代表されるように、日本の民主主義がかなり機能不全になっているように思われる。民主主義の…

この変わらなさに唖然

竹中 「派遣は増えたが正規雇用は殆ど変わらず労働者の権利が守られない「請負」が減った。2004年、2005年は派遣に変えなかった。偽装請負の批判が出て、派遣が始まった。 日本の司法が誤った解釈をした。政府は正規と非正規が平等になるように改革すべきだ…

新自由主義はなぜ支持されたのか

特に「派遣切り」の問題以降、2000年代の「小泉改革」が「新自由主義」「市場原理主義」などとして厳しく批判されるようになっているが(その一方でその中心メンバーたちの社会的地位は基本的に安泰のままなのだが)、そこまで「間違った」政策が大きく批判…

「派遣切り」と正社員層

前回は感情に任せてほとんど書きなぐりで、なぜかブックマークも急に増えたので、言いたいことを整理。ネット上の匿名言論とはいえ、その中でもYahoo!という最も公共性の高い(つまり学校でネットを習った人が最初に指定されるような)ポータルサイトで、「…

yahoo!ニュースのコメント欄がひどい

ネット上のヘイトスピーチというと「2ちゃんねる」が有名だが、あきらかにそれ以上にひどいところがある。それはyahoo!ニュースのコメント欄だ。この欄のコメントの偏見の凄まじさにはときどきびっくりさせられる。例えば先日の総務省の坂本政務官の「派遣…

国家を家族として考えるべき

国家は家族のようなものである、というと誤解する人が多いだろうが、これはいたってまじめである。この喩えは「国家は企業のようなもの」という、より流通しているモデルを批判するために用いている。(1)企業モデル国家 国家が企業のようなものであるとい…

ようやく総中流が崩壊した年

のこり30分もなくなったが、今年一年を振り返ると、一言で言うと日本における「総中流」が完全に崩壊した年であると言えるだろう。すでに2000年頃に『不平等社会日本――さよなら総中流』という題名の本が話題になってはいたが、それは若干話題性を狙った、「…

市場原理的な社会保障

自分の顧客資産を生かして再度サービスの販売でのし上がった人もいますし、40過ぎてjavaを覚えて新しい領域のエンジニアになり今でも前線で活躍している人もいます。工場勤務時代の経験を生かして、最先端の工場運営についてコンサルティングをしている人も…

筑紫哲也と新自由主義

冷戦崩壊以降の政治的な対抗軸を、市場競争重視の「新自由主義」と、再配分重視の「社民主義」(第三の道)の対立として総括できるとすると、日本における顕著な特徴は両者が90年代から2000年代にかけて、ほとんど共闘関係にあったことにある。その象徴が、…

前回の続き。竹中平蔵の議論を読むと、二の句が次げないような説得力もある一方で、どうも名状しがたい違和感が常に残る。それはたぶん、かつて「社会主義」に対して感じたようなものと、似た違和感である。社会主義国家は、働くことに純粋に喜びを見出す労…

竹中平蔵について

「世界不況」という言葉が飛び交うようになってから、竹中平蔵の言動に注目している。ここのところ、竹中は「市場原理主義」「格差社会の元凶」はては「アメリカに魂を譲り渡した売国奴」として、特にネット上では罵倒や人格攻撃に近い批判が多くなっている…

行間を読む

プロ野球の「通説」は錯覚? 名大教授ら846試合分析「チャンスを逃すとピンチあり」「大量得点をした次の試合は打てない」。野球の世界でよく聞く話だ。こうした「通説」は本当なのか。名古屋大の加藤英明教授(金融経済学)らがプロ野球の試合を分析した…

車離れの要因

若者の車離れ深刻 20代前半女性「自動車に興味なし」は45%9月9日10時15分配信 オリコン 近年“若者の車離れ”が注目されているが、ネットエイジア社の『自動車に関する調査』によると、20代男女で車離れの傾向が顕著になっていることがわかった。「自動車に興…

地方のエリート知事

「地方の価値観重視を」=治水行政に一石−蒲島熊本知事・川辺川ダムべつのダムの話とはまったく関係ない。蒲島郁夫知事について検索してみたら、なんと月給は24万らしい。自分の「公約」として100万円減らしたとか。蒲島知事は有名な政治学者だそうだが、素…

超党派議員、法相に“大野病院事件”の控訴断念を要請 8月27日10時52分配信 読売新聞 超党派の「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」の尾辻秀久会長(元厚労相)らが27日午前、保岡法相と法務省で会い、福島県立大野病院で起きた医療事故で業務…

大野病院事件

<福島・大野病院医療事故>帝王切開判決 無罪に医師、安堵 女性の父、目閉じ 加藤医師は初公判から「切迫した状況でできる範囲のことを精いっぱいやった」と無罪を主張しつつ、謝罪も口にし、今年5月の最終意見陳述では「できる限り一生懸命行ったが悪い結…

消費者主権

太田誠一農林水産大臣の、「日本の消費者はやかましいから・・・」という「失言」と言えるどうかというほどの発言に、政治家の「失言」をことのほか喜んで報道する大手メディアはともかくとして、ネット上でもまじめに噛み付いている人が少なくないのには驚…

上にいる人の鈍感さについて

面白いエントリーが。ちょっと別の視点で。上にいる人は、降りてこない http://d.hatena.ne.jp/yellowbell/20080716メディアに出てくる財界人の発言を聞くと、金儲けに邁進するあくどい人間というよりは、「馬鹿」ではないかと思うほど無邪気で鈍感であるこ…

公務員叩きについて

また繰り返しのネタになるが、どうにも腹が立つので。テレビをつければ「公務員の無駄」を特集しており、車に乗ってラジオをつければコメンテーターが「公務員の削減が必要」と発言している。さすがにうんざりである。感情としてはともかく、私は公務員の削…

高級志向

最近日本社会のなかに「高級志向」が復活しつつあるように思われる。これは日本だけじゃなく、韓国や中国でも同じ現象が見られるようである。90年代半ばには、バブル時代の記憶もあって高級志向はほとんど軽蔑の対象であった。それはとりもなおさず、不況で…

まともな生活

秋葉原連続殺傷事件に関して、派遣労働や格差社会の問題と短絡すべきではないという「正論」を時々見かける。しかし私を含めて、この事件をめぐって現代日本の問題の縮図を投影せずにはいられなかった人々を膨大に生み出した事実は、それ自体極めて重要な「…

秋葉原事件の社会背景まとめ

断っておくと、私は今回の事件を「起こるべくして起こった」としたり顔で言う人にはあまり賛成しない。eventが「事件」と「偶然」の両方に訳されるように、「必然的な事件」など語義矛盾である。われわれができるのは、起こった事件を手掛かりにしてその社会…

究極の弱者

加藤容疑者に関する報道を見るにつけ、彼は現代社会における究極の「弱者」であったのではないか、という感を拭えない。従来弱者というと女性、外国人、身体障害者、あるいは何らかの出自で差別を受けている人々であった。こういう人々が社会的な困難に直面…

学校の秀才から下層労働者へ

今回の秋葉原の事件では、「格差社会」(時折「オタク」)がキーワードになっていることが多いが、むしろ私は加藤容疑者が地方の伝統進学校出身であったという点に注目したい。一昔前であれば、「名門の○○高出身」というだけで(特に田舎では)将来が困るこ…

生存と差別

再び書くが、私は「格差社会」の根本の問題は「生存」ではなく「差別」であるべきだと思っている。特に30歳を超えた「フリーター」とよばれる人々が悲惨なのは、生活が大変だということもそうだが、アルバイトでしか生計を立てていないことがイコール「社会…