規制緩和論と外国人参政権

なぜ今、参政権法案?与野党に波紋、暗躍する推進派 党議拘束外しで急進展も 
2009.11.6 22:10


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 参政権付与をかねて求めてきた在日本大韓民国民団(民団)に属する在日韓国人は、民主党議員を先の衆院選で支援し、両者の距離は確実に縮まっている。9月11日には民団メンバーが小沢氏に直接、地方参政権付与を要請している。

 一方、山岡氏の発言を「国会会期延長の大義名分づくりだ」(民主党幹部)と見る向きもある。

 今月30日までの会期では、国民新党固執する郵政株式売却凍結法案も成立が困難との見方が強い。首相官邸サイドは郵政法案の会期内成立にこだわっていないとされるが、そうなれば国民新党との衝突も予想される。これを回避したい山岡氏が、重要法案を増やすことで官邸サイドに会期延長をのませる呼び水に使った−というわけだ。

 だが、民主党の慎重派議員は「冗談じゃない。少なくとも20、30人は猛烈に反対する」「左翼政党と見られるデメリットの方が大きい」など参政権付与法案にさっそく反発している。

 みんなの党渡辺喜美代表も「参政権を行使したいなら日本人になってほしい」と反対を表明。自民党大島理森幹事長は「(国民)主権にかかわる問題だから党議拘束なしには抵抗感を持つ」と慎重な考えを示した。


http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091106/stt0911062212011-n2.htm

外国人参政権の問題について、みんなの党の党首である渡辺喜美が否定的なコメントを出している。昨年の国籍法改正に際に中川秀直が改正反対の立場を表明していたのだが、理論上は開放主義的で移民受け入れにも積極的な規制緩和論者が、なぜか外国人の権利問題には消極的である傾向がある。「ご都合主義」という批判があったけれど、以下のように「ご都合主義」の内容をまとめてみた。

第一に、規制緩和論者が望んでいるのは、外国人の企業家や投資家が日本で活動してくれるようになり、税金をたくさん納めるようになって日本の国力が上昇するということであって、それ以上のものではない。規制緩和論者は、表面的には移民受け入れに積極的である一方で、現実に日本で生活している移民の問題についてはほとんど無関心であり、むしろ難民や貧困労働者が日本に来ることは経済・財政上のマイナスとして、潜在的には否定的な考え方をしている。だから、特に高額納税者でもない普通の定住外国人参政権を獲得することに消極的であるのは、彼らにとって言わば当然の態度ということができる。

第二に、規制緩和論者は基本的に思考様式がナショナリスティックであることが多い。彼らは規制緩和を正当化する際に「国際競争力」という(経済学的にはあまり支持されていないらしい)概念を濫用するが、それは彼らが「日本人」への自己同一化とその生存・発展への関心が人一倍強いことを示している。それ自体は一概に悪いとは言えないが、彼らにとって「外国」とは第一義的に隣人でも外部者でもなく「競争相手」なので、その競争相手への権利付与に対しては自ずと消極的になるわけである。

最後に、経済規制緩和論者と道徳保守派(利益分配政治)が緩やかに共存してきたという、自民党の固有の問題を指摘することもできる。つまり、規制緩和論者はそもそも外国人の権利問題にほとんど無関心であり、この問題に強い関心を持つ道徳保守派の意見に政治的に付き合っているだけという可能性もある。いずれにせよ、現実に日本で生活している外国人の存在に、彼らが冷淡である事実に変わりはないのだが。