前回の続きというか補足。

日本の福祉国家というのは、完全に官僚主導型で、しかも企業組織や家族の相互扶助に依存する形で構築されてきた。

「民間でできることは民間に」という構造改革のスローガンを国民が支持してきたのは、市場競争による活力の向上を求めたのでは全くなくて、官僚に必死で仕事をさせて企業の業績を回復させれば、増税などしなくても社会保障制度は再建されるはずであるという、旧来の日本型福祉の歴史的経験に由来するものであったからである。

構造改革の主導者もこうした世論に暗黙にのっかたるかたちで、新しいセーフティネットの構築と、そのための増税政策を政治的リスクの高さから先送りし続けてきた。

構造改革が日本型福祉を単純に解体したというなら話は簡単なのだが、実は悪い形で野合している側面が多々あって、そのことが様々な深刻な問題の原因となっている。