現在、日本の国民負担率(租税、社会保障負担の合計)は40・1%と、米国の34・5%より高いものの、英独の50%前後などと比べ低水準です。しかし、少子高齢化で、好むと好まざるとにかかわらず、今後、国民負担率は上昇していくでしょう。
(中略)
 私の提案は、法人税率を国際平均の30%程度まで下げる一方、消費税率を10〜15%まで引き上げることです。その代わり、法人の経費計上を厳しく監視し、税率分はきちんと納めてもらうべきです。低所得者の負担が重くなることを防ぐため、食料品や医療費など生活必需品の税率を低くすることも必要です。増収分は社会福祉や貧困対策に優先して配分します。
http://mainichi.jp/select/biz/katsuma/crosstalk/2008/11/post-3.html

私は、法人税減税も消費税増税も決して反対というわけではない。累進課税を上げるとか、他の選択肢がどうしてだめなのかを、もっと丁寧に説明してほしいとは思うけど。

ただし、こういう議論を展開する人たちの「歯切れ」があまりによすぎることには、非常に違和感をもっている。

法人税減税も消費税増税も、現在の国民世論の感情としては、「とんでもない」ことである。だからこれを真正面から掲げている政治家は、財界関係者か与党の政策担当者くらいで、ほとんどの政治家や専門家は過剰なくらい「自己規制」している。雇用や社会保障の問題は結局のところ増税の問題になるので、政治家としても本当はあまり争点にしたくない。ということで今の民主党代表のように、一番「無難」で世論のウケのいい「官僚政治」批判になってしまう。

さすがに、勝間さんにコメントする人には「行政の無駄を削れ」などという感情的な議論は少ないが、マスメディアやネット世論ではそれが圧倒的な大多数である。低所得者貧困層への再配分ですら、激しい拒否反応を示す人がすくなくない。それくらい今の日本社会には、「自分こそが弱者で、文句言っているやつは甘えているだけだ」というルサンチマンが充満している。

そうした世論のほの暗い感情を斟酌しない「正論」が、特に人相の悪い自民党の幹部や財界幹部から語られるとき、たぶん事態をさらに悪い方向に進ませる可能性が高いだろう。さらに言えば、いきなり国の財政や社会保障の財源がどうのこうのという、全体の話からはじめるのはよくないと思う。高齢者介護や年金の問題が、法人税減税と消費税増税でどうよくなるのか、という具体的な問題から話をすべきである。