河村名古屋市長 給与受け取りを拒否 公約実行
 5月18日16時6分配信 毎日新聞

 名古屋市河村たかし市長は18日の定例会見で、同日支払われる予定だった給与の受け取りを拒否したことを明らかにした。市長選では給与を年800万円にする公約を掲げて当選しており、6月議会に改正条例案を提出する方針。河村市長は「現行条例を前提にした給与は受け取らない」と説明し、市長室で一時、保管しておく。

 支払われる予定だったのは4月分の給与(3日分)20万4045円と、5月分149万6340円の計170万385円。

 また、副市長など特別職を経験した後に市の外郭団体に天下り、現在も理事長などに就いている4人から、市長の勧告に従って勇退する了承を得たことを明らかにした。

 4人は▽名古屋観光コンベンションビューローの因田義男理事長(元副市長)▽名古屋地下鉄振興の塚本孝保社長(同)▽市信用保証協会の加藤公明会長(元収入役)▽名古屋国際センターの鈴木勝久理事長(元助役)。 河村市長は、4人が応じなければ、直接市長が呼び出して説得するとしていたが、河村市長は「そうなる状況にはならなそうです」と話した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090518-00000013-maip-pol

どうして政治家の給料が税金から支給されるのか。大きく言って以下の三つが挙げられる。

(1)財産家だけが政治家になりやすいという不公平を避けるため。また現代社会では財産家だけでは議員を調達できないし、その財産だけではとても政治活動が成り立たないため。

(2)政治家の仕事には「儲からないけど必要なもの」ものがかなり含まれており、単純に市場原理にゆだねられないため。

(3)特に日本に関して言えば、寄付の文化が存在しないため。もし河村を支持する人は、身銭を切って政治家に積極的に寄付すべきであるが、たぶんそんなことはしない。「ネット献金」をはじめた人たちがいるらしいが、ほとんど成功していないそうである。

こうした日本社会のシビアな面をまったく見ようとしない人が「庶民派」を自称し、政治活動はすべて寄付と主張しているのだから、あきれるばかりである。正直なところ、庶民を馬鹿にするのもいい加減にしてほしいと思う。私に言わせれば「土建屋」と言われる政治家のほうが、いい悪いはともかく、人々の欲望をきちんと見据えていた点ではるかに「庶民派」であった。

給料が減れば政治家になる人には無欲の人が増える、という意見もあるがこうした意見にも大反対である。政治家は宗教家や道徳家ではない。政治家は無欲な人間だけではなく、どろどろした欲望やルサンチマンを抱えた人間をも相手にしなければならないし、そうした現実の人間を排除した形の政治は結局のところうまくいくことはない。だから良くも悪くも、世間一般の欲望やルサンチマンを共有しているぐらいの人格を持った人(できれば理解した上で冷静に観察できる人)が、政治家としてはちょうどいいのである。

そもそも重要なのは「透明性」であって、金額の大きさではない。数億というならともかく、もともと上場企業の重役よりもずっと安い金額である。こんなつまらないことをわざわざ言わないといけないくらい、おかしな政治がではじめている。