朝まで生テレビはひどかった

見たり見なかったりの『朝まで生テレビ』だが、最近の議論の内容が劣化していると感じているのは私だけではないだろうと思う。

格差社会の問題で、同一労働同一賃金が盛んに言われていたが、なんと散々話題になったホワイトカラー・エグゼンプションの問題が一言もなし。それどころが、司会者を含めて「景気がよくなった」(社会的には圧倒的な少数派の)側の声が大きくて、ほとんどどこの国のどの社会について議論しているのかわからないような話が延々と続いていった。「格差は過剰な市場競争のせい」とする側もほとんど感情論の域を出ず、「じゃあ具体的にどうすればいい」という例の突っ込みで黙ってしまい、データを詰め込んだ与党議員が大きな声でまくしてててやはり黙ってしまう。つまらないというより、腹が立って途中で寝てしまった。

ひとつだけいえば、誰も疑わなかった同一労働同一賃金などは無条件に賛成できない。だいたい明白な「犯罪」であるサービス残業すらまともに取り締まれていないのに、それよりずっと規制が困難な同一労働同一賃金などほとんど不可能であり、正社員の給料を引き下げるための理屈として使われてしまうことは明らかである。こういう当たり前のことが何ひとつ語られない。労働の現場を知らないという以前の問題で、世の中を観察するレンズが歪んでいるとしか言いようがないだろう。