地方政治の無党派化

宮崎県知事選の結果には、最初は他の人と同じようにかなり驚いたが、やっぱりなという気もしてきた。

今まで無党派層と言うと東京や大阪など都会の話だ思われてきた。情実や縁故に縛られない「個人主義」的な人間が多い、というのがその理由である。しかし今や、そういう点では地方もあまり変わらなくなっている。むしろ、首都圏に本社がある大型ショッピングモールやコンビニエンストアへの依存度、自動車の利用頻度、テレビやインターネットを観る時間などは、明らかに都会以上になっている。地域に密着した商店街は地方都市ではゴーストタウン化しているが、東京のほうでは依然として活気がある。少なくとも社会的な状況からすれば、地方でも無党派層が大量に出現して全く不思議ではなくなっている。いやむしろ、地方のほうが都会以上に無党派化している可能性があるのである。

その意味で宮崎県知事選の結果は、昔は地域に根を張った有力者を通じて政治を実感していた地方の人間も、今はほとんどテレビやインターネットを通じてしか政治に触れなくなっているという現実を改めて認識させてくれたという感じがするのである。自民党員でも東国原知事に投票したという報道もあったように、もはや地方の党組織は全くと言ってよいほど統率がとれていない。しかも、生活は都会化しているのに政治に対する素朴な期待はかなり残っているから、談合のようなわかりやすい不正事件があると、選挙結果に直接反映されやすいのである。地方には「王国」を築いている知事が少なくないが、知名度のある対立候補が出てきて真面目な姿勢で選挙活動を行なえば、そのほとんどは簡単に崩れ去ってしまうだろう。都会に比べるとそうした対立候補が出にくいという事情は確かにあるが。

私は宮崎県知事選のように、知名度はあるが政治の素人に近い人物がポンと出て来て当選するという形で「改革」が進むのは、はっきり言ってよくないことだと思う。しかし、他に地方の政治がよくなる方法があるのかといわれると、答えに苦しむのが現実である。