民間の消費者金融業者はできれば全廃すべき

アイフルの事件で「そもそも金なんか借りるな」「貧乏なやつはそれなりの生活をしろ」という人が一部にいるようだ。私は消費者金融を利用したことはないし、利用する人の中にはパチンコ狂のような連中も少なくないのだろうが、こういう一見もっともな意見を吐く人には疑問がある。昔から金にだらしない人は一定数いたわけで、消費者金融業がこれだけ盛んなのはCMやATMの影響もあるのだろうが、やはり社会が要請しているからと考えるべきではないだろうか。

昔の貧乏な人はいわゆる貧農か日雇い労働者だった。こういう人々は毎日食べることで精一杯だったが、それ以外にはほとんどお金を使わずに済むような生活だった。年中ほとんど同じぼろぼろの汚い服を着て、風呂も週にいっぺんくらい入ればよかった。今の貧乏な人はこうした古典的な貧者とは全く違う。今の貧乏な人は、仕事をしていても接客業やパソコン関係などが多い。スーツやネクタイはもちろん、パソコンや携帯電話なども必需品である。特に女性などは男性と違って化粧代がかかるし、年中同じ服を着るのは恥ずかしいという暗黙の規範があるので、衣服代もかかる。また、特に地方の人間だと自動車がないと仕事場どころかスーパーにすら行くのも不便であるという人が多いはずだ。少なくとも年収150万ぐらいの貧乏な人にとっては、これらを満たすことは不可能ではないとしてもかなり厳しいだろう。

要は、今の人は「貧乏でもそれなりの生活」というのが、できにくくなっているのではないだろうか。パソコンも携帯も化粧もせず車も持つなということになると、そもそも人間生活そのものが営めない。消費者金融現代社会における必要悪であるとすれば、金貸しはあくまで行政か、それに準ずる金貸しを専門でない民間企業(たとえば銀行)だけが行う方向へと持っていくべきだろう。今回の問題でアイフルは「借金する人を作り出している」と批判されているが、アイフルが市場競争で利潤を追求する民間企業である以上、そうなってしまうのは当たり前である。そもそも、病院や弁護士などもそうだが、「不幸な人」を相手にする事業を市場競争にさらすべきではない、という議論へ方向性を持っていく必要があると考える。