若者がデモをしない理由

サンデーモーニングを観ていたら、平均年齢60以上の出演者達が、若者がデモなどの政治行動をしないことを嘆いていた。余計なお世話という感じもするが、確かに不思議ではある。私はデモなど大学になかった時代の世代なので、むしろ昔の人が熱心にデモをしていたのが不思議でしょうがない。

一つだけ言えるのは、若者の政治意識の低下とか、現状に満足しているとかでは決してないことである。これは半分推測だが、昔はデモを指導するような学生は勉強や就職、対人コミュニケーションなどの面でもエリートだったたのではないだろうか。現代の有名人には、学生運動の指導者だったという人は少なくないような気がする。山本義隆という全共闘運動の指導者は、かつては「将来のノーベル賞候補」と言われ、学会は去ったが現在は科学史の第一人者として君臨している。こういう有能な人が運動を指導すれば、当然ながら多くの学生はそれに憧れて参加していくはずである。

今デモをやろうとしている学生はいるにはいるのだろうが、たぶんかつてのようなエリートの名に値するような人はいない。私の記憶でも運動的な学生は、生真面目だがちょっと変わり者で浮いていたような気がする。要するに「あんましかっこよくない」のである。こういうタイプの人に「世の中を変えよう」などと熱い言葉で言われたら、「ウザイよ」「テメエに言われたくねえよ」と感じるのが普通の人の感覚だろう。少しでもまともで普通の人間と思われたければ、こういうタイプの人間の指揮する運動にかかわらない方が無難なのである。

要は、若者の間で比較的「かっこいい」と思われている「まとも」な人が、そもそも運動なんかには無関心であることが、デモが盛り上がらない最大の理由であるような気がする。しかし、なんで「かっこいい」「まとも」なやつが政治運動に無関心なのかは、よくわからない。また考えてみたいと思います。